日本人の腸内環境が危ない!大腸がんが急増、便秘の女性は5割以上、過敏性腸症候群の男性が急増中ということで、原因をさぐってみました。
現代人は腸内の環境が悪化していて、便秘や下痢に悩まされる人が多いといいます。
また大腸がんにかかる人は近年急増中しているといいます。
このままの生活スタイルを放置しておくと、お肌が荒れるだけでなく腸から引き起こされる病気にもなりやすくなってしまいます。
どうして腸内の環境が悪くなってしまったのか、そして何を避けたり気をつければ、腸内環境がよくなるのか、今医学の面からわかっていることを知っておけば、十分改善できることがあります。
腸内のことですから、男女と問わず、年齢を問わず大切な知識かと思いますので、老化や病気を防ぐためにも私たちのお腹のこと、知識としてのぞいてみます。
腸の環境が悪いことで起こる悩み
腸内環境が悪いことで、女性の場合は5割近くが便秘に悩んでいます。
男性の場合は過敏性腸症候群になりやすい傾向があります。
傾向として女性は溜めやすく、男性は下りやすいのですね。
排便は一日に一回あるのが基本で、「三日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を日本内科学会では便秘と定義しています。
30代~40代の女性の一日のお通じ頻度を調査したところ、なんと53.8%の人が自分は便秘体質だと思っていて、排便回数は2~3日に一回が約35%、4~6日に一回が約7%です。
7日に一回という週末に薬をつかって排便するという女性も2.6%あります。
「腸内美活推進委員会の素顔と腸にかんする調査2012年」
便が長期間でなくても辛くなければいいような気もしますが、生ごみをお腹の中に長期間ため込んでいるのと同じ状態なので、腸は不衛生な状態になっていますよね。
腸内で腐敗がおこって、腐敗物質のアンモニアなどが発生すると、大腸にダメージを与えることでしょう。
また腸壁から体内に吸収されて、全身に悪い影響が出るのもうなづけます。
便秘の人は肌が荒れたり、顔色がよくない人が多いですが、お通じが毎日のようにある理想的な生活をしている人は、女性では半数もいないのですね。
一方男性は、過敏性腸症候群つまり下痢を起こしやすい。
これは検査しても腸に炎症や潰瘍といった以上がないのに、下痢や便秘、腹痛、ガスによるお腹の張りなどに悩まされる病気です。
10代~40代の男性に多くて日本人の10~15%に過敏性腸症候群の症状があります。
過敏性腸症候群の患者さんは一日に3.5回排便するそうです。
原因は大腸の機能不全です。
大腸を通過するときに時間が短すぎて下痢になりやすいのです。
そして大腸の機能不全を引き起こすのが、ストレスです。
大腸をはじめとする消化器は、自律神経によってコントロールされているのですが、ストレスを受けると自律神経の中枢のある視床下部がダメージを受けて、調整能力がなくなってしまうのです。
ストレスを受けやすい人は、大腸の機能不全を起こしやすく、下痢しやすいということになります。
大腸ガンの急増が腸内環境の悪化を物語る
近年急増している大腸がん。
1950年から2000年までの50年間で、大腸がんで亡くなる人は、男性では11倍、女性では8倍ほどになります。
2020年までには男女合わせた部位別がんの患者総数で一位になるという予測があります。
日本人の三人に一人はガンでなくなるといわれていますが、大腸がんにはもっと気をつけなければないらないといえます。
便秘も下痢も関係ない人はあまり気にしなくてもいいかもしれませんが、腸内の環境が悪いことで大腸ガンも引き起こされるのですから、うかうかしてはいられません。
どうして現代の日本では大腸がんが急増しているかというと、それは食生活の変化が大きく影響しています。
「野菜と魚介類中心の伝統的な食生活」から「欧米諸国のような肉類摂取の多い食生活」に変化したことが、日本人の大腸ガンの増加の一因とされています。
また運動不足と飲酒量の増加が、腸内の環境を悪化させています。
大腸ガンは大腸の壁の内側にある粘膜に発生、腸壁を深く侵し、やがて周囲のリンパ節に広がって、進行すると肝臓や肺といった離れた臓器にまで転移していきます。
早期に見つけると(ステージ0から2まで)治癒率は85%以上だそうです。
なので早期発見が大切になります。
大腸ガンは初期には自覚症状がないのが特徴ですから、放置しておくのでなく5年に一度くらいの頻度で大腸内視鏡検査をするとよいそうですよ。
野菜不足で悪化する腸内環境
日本人の野菜摂取量は、ここしい年横ばいで、目標では一日に野菜を350グラム以上摂取するのが厚生労働省で推奨されてます。
でも平均摂取量は300グラムを下回っています。
緑黄色野菜を350グラム中120グラム摂取する基準も、100グラムに満たないという結果です。
この10年ほどの傾向は変化がないので、このまま推移すると大腸がんにかかる患者が増えていくということなので、野菜の摂取量が少ないと感じる人は、食生活を考えなおすといいですね。
野菜不足でどうして腸内の環境が悪くなるかというと、それは食物繊維の不足になるからです。
食物繊維そのもんh、栄養があるわけではありませんが、人の消化酵素では十分分解も吸収もされない食物中の繊維です。
だからこその働きとしてこんな働きがあります。
・食物繊維は、悪玉菌が作り出す腐敗物質などをからめとって排泄してくれる。
・食物繊維は、腸内の有益な善玉菌で発酵されやすく、生じた酸で腸内が酸性に傾くと乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が活動しやすくなり、腸内環境が改善する。
・食物繊維のうち、水に溶けにく不溶性の食物繊維が、保水性が高く便をカサ増ししてくれ、快便につながる。
お肉の食べ過ぎが大腸がんの一因
現代の日本人はお肉の摂取量が増えていることが、大腸がんの一因だとはっきりいわれています。
1960年の一人当たりの肉類の年間消費量はおよそ5キログラムで、一日にするとお14グラムです。
昔は時々たべるだけのごちそうだったものが、2013年の調査では1960年と比較して6倍以上になっています。
肉類より魚介類を多く摂取するようになったのは、2006年からですが、肉類のとりすぎは腸内の悪玉菌を増やして腐敗が進み、腸内環境が悪化して大腸がんの一因になっています。
もう少し詳しくいうと、肉類の動物性脂質は、肝臓から分泌される胆汁の胆汁酸とグリセロールに分解されますが、動物性脂質をとりすぎると胆汁の回収が追い付かずに、大腸まで流入してきます。
するとシンデス菌、ハイレモンアエ菌、ヒラノーニス菌という悪玉菌が胆汁を発ガン促進物質に変えます!
美味しいからと霜降り肉やソーセージなどの加工品も大量に摂取しない方が、大腸がんのリスクを避けることができます。
「理化学研究所の辣野義己先生の監修によるターザンの5月号を参照」
ストレスによる腸内環境の悪化
「ストレスが腸内の環境を悪化させている」のはどうしてか。
ストレスはストレスを引き起こす要因によって、心身のホメオスタシス(恒常性維持)が崩れた状態をいいます。
腸の働きは自立神経がつかさどっていますが、自律神経のうち交感神経が優位のときは腸の活動が抑えられ、副交感神経が優位になると促進します。
ストレスの元では交感神経が優位になりやすいので、腸の働きにブレーキがかかって腸内環境が悪くなります。
そのため腸過敏性症候群などの腸のトラブルが起きやすくなるといえるのです。
現代の社会人にとってストレスは避けようがないですが、ストレスへの耐性を少しでも高めるのが腸へのいたわりになるといえます。
マウスの実験では、善玉菌である乳酸菌が豊富で腸内環境がよいマウスの方がストレス耐性は高かったという調査がありますので、人も同じように考えれば、腸内環境をよくすれば、ストレスに強くなり腸のトラブルも減ると考えられます。
運動不足が腸内環境を悪化させている
現代では便利な乗り物、エレベーター、エスカレーター、車などが利用できるので、歩くことが少なくなりました。
また運動する習慣がない人も多くいます。そのため運動が不足がちという人も多いはずです。
運動不足は、大腸がんの危険度を高め、特に出口近くの結腸がんの危険度を高めます。
アメリカの国立ガン研究所では、適度な運動は血胸ガンのリスクを40~50%減らすとしています。
なぜ運動で大腸がんが防げるかは不明とされていますが、肥満が多くのがんの危険因子なので、肥満を避けることはガン予防につながります。
活発に動く大腸が機械的に刺激され、便を出す力が強くなって便通がよくなります。
便通がよくなると、腸壁と発がん物質(食べ物の中んいは少なからず発がん物質がある)の触れ合う時間が短くなり、ガンの危険はそれだけ減るといえます。
腸内環境を悪化させる原因のまとめ
・下痢
・便秘
・野菜不足
・お肉のとりすぎ
・ストレス
・運動不足
腸内環境悪化が引き起こす悩み・便秘下痢をなくし大腸ガンを避けるには・まとめ
以上のことから、腸内環境を悪化させないためのことは見えてきます。
野菜や魚を中心とした食生活を心がけ、ストレスを溜めず、少しは運動をということです。
でも腸内環境を整えることで、免疫力が上がります。
免疫力があがると、病気にかかりにくくなりますね、そして健康で長生きする寿命が延びることになります。
健康長寿を実現しようとすれば、腸内の環境を今以上に整えるといいのです。
さらに腸内環境が整うと、老化を押さえて平均寿命をのばすことも可能になってきます。
腸内環境にはそこに住む腸内細菌がどのようなバランスで住んでいるかが大きなカギです。
今老化をおさえ平均寿命をのばすとされる注目の物質があります。「ポリアミン」という物質です。
この物質が腸内の細菌の構成を変化させるからです。
「ポリアミン」は心臓や脳梗塞を起こす動脈硬化の元凶となる体内の炎症反応にブレーキをかけ、遺伝子の突然変異によるガン化をおさえます。
「善玉菌であるビフィズス菌が他の腸内細菌の構成を変化させ、その変化した腸内細菌の一部がポリアミンの合成に関わる」ことがわかっています。
そのためポリアミンを増やし、ガンへのきっかけを減らすことができれば、平均寿命が延びるというのです。
すでに悪化している腸内細菌を浄化して環境を整えるために、これからできること・・・原因がわかればその改善に向けて一歩一歩進みましょう。
ターザン20150409 669号の掲載内容を参照させていただきました。
今注目の腸内環境、腸内フローラなどの話です。